空き家の管理と売却を徹底解説|放置リスクと最適な処分方法空き家の管理と売却を徹底解説|放置リスクと最適な処分方法

1. 空き家を管理せず放置するリスク
1-1. 建物の老朽化と資産価値の低下
1-2. 法的リスクと特定空き家の指定
2. 空き家の適切な管理方法
2-1. 自分で行う基本的な管理作業
2-2. 管理代行サービスの活用
3. 空き家管理にかかるコストと負担
4. 空き家を売却するメリット
4-1. 管理負担と費用からの解放
4-2. 税制優遇措置の活用
5. 空き家売却の具体的な流れ
5-1. 売却前の準備と必要な手続き
5-2. 査定から引き渡しまでのステップ
6. 管理を続けるか売却するかの判断基準
7. まとめ
空き家は適切に管理しないと急速に老朽化し、資産価値が大きく下がるだけでなく、特定空き家に指定されて固定資産税が最大6倍になるリスクもあります。月1回以上の換気や清掃、庭の手入れなど、維持管理には時間とコストがかかり続けます。一方、早期に売却すれば管理負担から解放され、相続から3年以内であれば最大3,000万円の特別控除を活用できる可能性があります。将来的に活用予定がない空き家は、建物の価値が残っているうちに売却を検討することで、維持費用を抑えながら最大限の売却益を得ることができます。管理し続けるか売却するかは、活用計画の有無と維持費用を天秤にかけて判断することが重要です。
1. 空き家を管理せず放置するリスク
1-1. 建物の老朽化と資産価値の低下
空き家を放置すると、想像以上に早く建物が傷んでいきます。人が住んでいる家は日常的に換気が行われ、水道や電気も使用されるため、建物の状態が保たれます。しかし、誰も住まない家は窓を閉め切ったままになり、湿気がこもってカビが発生しやすくなります。特に日本の気候では、梅雨時期や夏場の湿度が高い時期に、急速に劣化が進みます。
例えば、親から相続した実家を空き家のまま放置していると、わずか数年で壁紙が剥がれ、床が傷み、水回りの設備も使えなくなることがあります。給排水管の中に水が残ったまま放置すると、冬場に凍結して破裂する可能性もあります。屋根や外壁も定期的なメンテナンスがないと雨漏りが発生し、構造部分まで傷んでしまうこともあります。
建物の老朽化が進むと、当然ながら資産価値は大きく下がります。仮に5年前なら1,500万円で売却できた物件でも、放置して老朽化が進んだ結果、解体費用を差し引いて実質的に土地代だけの価格になってしまうケースも珍しくありません。木造住宅の場合、築20年を超えると建物の評価額はほぼゼロになることが多いですが、適切に管理されていれば使用可能な状態として一定の価値が認められます。
1-2. 法的リスクと特定空き家の指定
空き家を放置することによる問題は、資産価値の低下だけではありません。2015年に施行された空家等対策特別措置法により、適切に管理されていない空き家は「特定空き家」に指定される可能性があります。特定空き家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税負担が最大で6倍に跳ね上がります。
特定空き家の指定基準は、倒壊などの危険がある状態、著しく衛生上有害な状態、適切な管理が行われていないことにより景観を損なっている状態、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態などです。例えば、外壁が崩れかかっている、雑草が生い茂って隣地に越境している、不法投棄のゴミが放置されているといった状態が該当します。
また、空き家が原因で第三者に損害を与えた場合、所有者として損害賠償責任を負う可能性があります。台風で屋根瓦が飛んで隣家の車を傷つけた、放置された庭木が倒れて通行人にケガをさせたといった事例では、所有者の管理責任が問われます。たとえ遠方に住んでいて頻繁に確認できない事情があったとしても、所有者としての責任は免れません。

2. 空き家の適切な管理方法
2-1. 自分で行う基本的な管理作業
空き家を良好な状態に保つためには、定期的な管理が欠かせません。最も基本的で重要なのが換気です。月に1回以上は訪問して、すべての部屋の窓を開けて空気を入れ替えてください。換気を行うことで湿気を逃がし、カビの発生を防ぐことができます。同時に、各部屋を見回って雨漏りや水漏れがないか、床や壁に異常がないかを確認しましょう。
水回りの管理も重要です。キッチンや浴室、トイレの水を流して、排水管に水を通すことで、排水トラップの封水を保ち、下水からの悪臭や害虫の侵入を防ぎます。長期間水を流さないと、排水管の中で水が蒸発してしまい、下水の臭いが室内に充満することがあります。また、水道メーターも定期的に確認し、使用していないのにメーターが回っていれば、どこかで水漏れしている可能性があります。
庭の手入れも忘れてはいけません。雑草を放置すると、あっという間に庭全体が草で覆われ、害虫の温床になったり、隣家にまで迷惑をかけたりすることがあります。特に夏場は雑草の成長が早いため、月に1回は草刈りが必要です。また、庭木も定期的に剪定しないと、枝が伸びて隣地に越境したり、台風で折れて危険になったりします。
2-2. 管理代行サービスの活用
遠方に住んでいて頻繁に空き家を訪問できない場合や、高齢で管理作業が負担になる場合は、空き家管理代行サービスの利用を検討しましょう。管理会社が月に1回程度訪問して、換気や通水、清掃、郵便物の整理、庭の簡易な手入れなどを代行してくれます。管理報告書を送ってくれるサービスも多く、遠方にいても物件の状態を把握できます。
管理代行サービスの費用は、サービス内容によって異なりますが、月額5,000円から1万円程度が一般的です。これに加えて、庭木の剪定や外壁の修繕など、特別な作業が必要になった場合は別途費用がかかります。一見すると負担に感じるかもしれませんが、自分で管理する時間や交通費を考えれば、決して高くない金額といえるでしょう。
ただし、管理代行サービスを利用しても、完全に放置できるわけではありません。重要な判断が必要な修繕や、法的な手続きなどは所有者自身が対応する必要があります。また、管理会社によってサービスの質に差がありますので、契約前に具体的な作業内容や報告方法をよく確認してください。実績のある信頼できる業者を選ぶことが重要です。
3. 空き家管理にかかるコストと負担
空き家を維持するには、想像以上に多くのコストがかかります。まず、固定資産税と都市計画税は、誰も住んでいなくても毎年支払わなければなりません。仮に年間15万円の税金がかかる物件であれば、10年間で150万円もの負担になります。これに加えて、火災保険料も必要です。空き家は人が住んでいる家よりもリスクが高いとみなされ、保険料が割高になることもあります。
光熱費も継続的にかかります。完全に電気や水道を止めてしまうと管理作業ができなくなるため、基本料金だけでも支払い続ける必要があります。また、前述の管理代行サービスを利用すれば、月額5,000円から1万円の費用が発生します。自分で管理する場合でも、遠方であれば往復の交通費がかかりますし、近隣であっても時間と労力の負担は小さくありません。
さらに、建物は年月とともに必ず劣化していきますので、定期的な修繕費用も見込んでおく必要があります。屋根の補修、外壁の塗装、給湯器の交換など、大きな修繕には数十万円から百万円以上かかることもあります。これらのコストを合計すると、空き家を維持するだけで年間30万円から50万円程度の負担が発生することも珍しくありません。
このような継続的なコストに加えて、管理のための時間と手間という目に見えない負担もあります。月に1回の訪問でも、移動時間を含めると半日がかりになることがあります。また、近隣から苦情が来た場合の対応や、突発的なトラブルへの対処など、精神的な負担も無視できません。将来的に活用する予定がないのであれば、これらの負担を続ける意味があるのか、改めて考える必要があります。
4. 空き家を売却するメリット
4-1. 管理負担と費用からの解放
空き家を売却する最大のメリットは、継続的な管理負担と費用から完全に解放されることです。毎月の訪問や清掃、庭の手入れといった時間と労力のかかる作業から自由になれます。また、固定資産税や管理費用といった金銭的な負担も一切なくなります。売却によって得た資金は、老後の生活資金や新しい住まいの購入資金として活用することができます。
特に遠方に住んでいる方にとって、空き家の管理は大きな負担です。管理のためだけに年に数回往復する交通費と時間を考えると、売却してしまった方が合理的な場合が多いでしょう。また、高齢になるにつれて管理作業自体が身体的に困難になることもあります。体力のあるうちに売却を決断することで、後々の負担を避けることができます。
さらに、空き家を所有し続けることによる精神的なストレスからも解放されます。台風や地震のたびに建物の状態が心配になったり、近隣から苦情が来ないか不安になったりといったストレスは、想像以上に大きいものです。売却してしまえば、こうした心配から完全に解放され、安心して日常生活を送ることができます。
4-2. 税制優遇措置の活用
空き家を売却する際には、税制上の優遇措置を活用できる可能性があります。最も重要なのが、相続した空き家を売却する場合の3,000万円特別控除です。この特例を利用すれば、売却益から最大3,000万円を控除でき、多くの場合は譲渡所得税がかからなくなります。ただし、この特例を受けるためには、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却するなど、いくつかの条件があります。
例えば、2022年に親から相続した実家を売却する場合、2025年12月31日までに売却すればこの特例の対象となります。この期限を過ぎてしまうと、通常の譲渡所得税が課税されることになり、数百万円単位で税負担が変わることもあります。したがって、相続した空き家を売却する場合は、できるだけ早めに行動することが重要です。
また、居住用財産として使っていた家を売却する場合も、一定の条件を満たせば3,000万円の特別控除を受けられます。住まなくなってから3年以内に売却する必要がありますので、転居してから時間が経っている場合は、期限を確認してください。税制は複雑で、個々の状況によって適用される制度が異なりますので、具体的な売却を検討する際には、税理士や不動産会社に相談されることをおすすめします。

5. 空き家売却の具体的な流れ
5-1. 売却前の準備と必要な手続き
空き家を売却する前に、いくつかの準備が必要です。まず、所有権の確認です。相続した物件の場合、まだ被相続人の名義のままになっていることがあります。この状態では売却できませんので、相続登記を済ませて自分の名義に変更する必要があります。複数の相続人がいる場合は、誰が売却するのか、または売却して代金を分配するのかを事前に話し合っておくことが重要です。
次に、室内の片付けです。長年放置していた空き家には、家財道具や不用品が残っていることが多いでしょう。これらを処分して、できるだけ室内を空にしておくことで、購入希望者が物件の広さや間取りをイメージしやすくなります。遺品整理業者に依頼すれば、短期間で片付けを完了できますが、費用がかかりますので、時間があれば自分で少しずつ整理するのも一つの方法です。
建物の状態によっては、簡易な清掃や修繕を行っておくと、売却がスムーズに進むこともあります。ただし、大規模なリフォームは必ずしも必要ありません。買主によっては、安く購入して自分好みにリフォームしたいと考える方もいるためです。どの程度手を入れるべきかは、不動産会社と相談しながら決めると良いでしょう。
5-2. 査定から引き渡しまでのステップ
売却の準備が整ったら、不動産会社に査定を依頼します。複数の会社に査定を依頼して、査定額やその根拠、販売戦略などを比較検討しましょう。査定額が最も高い会社が必ずしも最良とは限りません。なぜその価格で売れると考えているのか、どのような方法で買主を探すのかといった点もしっかり確認してください。
信頼できる不動産会社を選んだら、媒介契約を結びます。一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。不動産会社と相談しながら、自分に合った契約形態を選びましょう。契約後は、不動産会社が広告を出したり、購入希望者を案内したりして販売活動を進めます。
購入希望者が現れたら、価格や条件について交渉を行います。合意に達したら売買契約を結び、手付金を受け取ります。その後、買主の住宅ローン審査が行われ、問題がなければ決済日を迎えます。決済では残代金を受け取り、同時に物件の引き渡しと所有権移転登記を行います。これで売却手続きは完了です。全体としては、査定から引き渡しまで3ヶ月から6ヶ月程度かかることが一般的です。
6. 管理を続けるか売却するかの判断基準
空き家を管理し続けるか売却するかは、将来の活用予定があるかどうかが最も重要な判断基準になります。例えば、数年後に自分が住む予定がある、子どもが将来使う可能性がある、賃貸として活用する計画があるといった具体的な予定があれば、管理を続ける意味があるでしょう。ただし、漠然と「いつか使うかもしれない」という程度であれば、売却を検討することをおすすめします。
管理にかかるコストと、売却した場合に得られる資金を比較することも重要です。年間30万円から50万円の管理費用がかかるとして、10年間では300万円から500万円になります。この金額と、現在の売却予想価格、10年後の売却予想価格を比較してみてください。築年数が経過するほど建物の価値は下がりますので、将来売却するつもりなら早めに売った方が有利なことが多いです。
また、ご自身の年齢や体力も考慮すべき要素です。60代であれば空き家の管理も可能ですが、70代、80代になると体力的に難しくなります。管理できなくなってから慌てて売却しようとしても、建物がかなり老朽化していて買い手がつかない、または大幅な値下げが必要になるといった事態になりかねません。体力と判断力があるうちに、早めに決断することが大切です。
さらに、相続税の支払いや老後資金の確保といった資金ニーズがある場合は、売却して現金化することを優先すべきでしょう。空き家を所有し続けても収入は生まれませんが、売却すればまとまった資金を手にでき、生活の安心につながります。感情的に手放しにくい実家であっても、現実的な判断が必要な場面もあります。
7. まとめ
空き家を放置すると、建物の急速な老朽化による資産価値の低下、特定空き家指定による税負担の増加、損害賠償リスクなど、様々な問題が発生します。適切に管理するには、定期的な換気や清掃、庭の手入れが必要で、遠方の場合は管理代行サービスの利用も検討すべきです。ただし、管理には年間30万円から50万円程度のコストがかかり、時間と労力の負担も小さくありません。
将来的に活用予定がない空き家であれば、早期の売却を検討することをおすすめします。売却によって管理負担と費用から解放されるだけでなく、相続から3年以内であれば税制優遇措置を活用できる可能性があります。建物の価値が残っているうちに売却することで、より高い価格での売却が期待できます。
管理を続けるか売却するかは、活用計画の有無、管理コスト、ご自身の年齢や体力、資金ニーズなどを総合的に判断して決める必要があります。迷っている場合は、まず不動産会社に査定を依頼して、現在の価値を把握することから始めてみてください。具体的な金額がわかれば、より現実的な判断ができるようになります。
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無料ご相談・査定はこちら※本コラムは2025年11月2日時点の情報に基づいて作成されております。法改正や制度変更により、一部内容が異なる場合がございます。最新の情報や個別のご相談については、お気軽にお問い合わせください。




















