離婚で元配偶者から家を買うと住宅ローン控除は使える?条件と注意点
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離婚で元配偶者から家を買うと住宅ローン控除は使える?条件と注意点2026-01-09
離婚で家はどうする?住宅ローンの残債や財産分与で揉めないための知識をまとめました。ペアローンやオーバーローンの対処法など、円満に解決するためのコラム集です。
離婚に伴う不動産売買において、住宅ローン控除が適用可能かどうかは「誰から買うか」と「離婚のタイミング」が重要です。
- 夫婦間売買(離婚成立前)の場合:原則として住宅ローン控除は利用できません。
- 離婚成立後の他人としての売買の場合:条件を満たせば利用できる可能性があります。
- 財産分与の場合:単なる名義変更では対象外ですが、相手の持分を買い取るために新たに住宅ローンを組む場合は対象となるケースがあります。
ただし、売却側が「3,000万円特別控除」を利用する場合、購入側(元配偶者など)が住宅ローン控除を併用できない期間制限があるため、双方の税制優遇のバランスを考慮した慎重な判断が必要です。
目次「離婚することになったけれど、今の家はどうしよう?」「夫から家を買い取りたいけれど、住宅ローン控除は使えるの?」
離婚に伴う不動産のお悩みは、感情的な負担だけでなく、税金や制度の複雑さも相まって非常に大きなストレスとなりがちです。特に「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」は、数百万円単位で家計に影響する大きな制度ですから、使えるか使えないかは家計への影響が大きいですよね。センチュリー21クレール不動産では、これまで数多くの離婚に伴う不動産売却や買取のご相談を承ってきました。その経験を踏まえ、今回は「離婚時の不動産売買と住宅ローン控除」について、できるだけ専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
1. 離婚後の住宅ローン控除の基本ルール
まず大前提として、住宅ローン控除とは「自分が住むための家を、ローンを組んで購入(または増改築)した場合に、年末のローン残高に応じて所得税等が安くなる制度」です。
離婚時において、この制度が使えるかどうかは、主に以下の3つのパターンで判断が分かれます。今の家にそのまま住み続ける場合
例えば、夫名義の家に妻と子が住み続け、夫が出ていく場合です。この場合、夫は「居住していない」ことになるため、原則として住宅ローン控除の適用外となります。
逆に、妻が連帯債務者などで持分を持っており、そのまま住み続ける場合は、妻の持分に対するローン残高については引き続き控除を受けられる可能性があります。相手から家を買い取る場合
離婚に伴い、夫の持分を妻が買い取る(またはその逆)ケースです。ここで新たに住宅ローンを組む場合、条件を満たせば住宅ローン控除の対象となります。しかし、ここで最大の壁となるのが「親族間売買」のルールです。詳しくは後述しますが、離婚届を出す「前」か「後」かで結論が180度変わります。
2. 財産分与で家をもらう側の住宅ローン控除
離婚における不動産の扱いで最も多いのが「財産分与」です。財産分与として不動産の名義を変更する場合、住宅ローン控除はどうなるのでしょうか。
単なる名義変更では使えない
財産分与によって、例えば夫名義の家を妻名義に変更しただけでは、妻は住宅ローン控除を使えません。なぜなら、住宅ローン控除はあくまで「ローンを利用しての住宅の取得」に対して適用されるものであり、無償での譲渡や財産分与による取得は、控除の対象となる「購入」とはみなされにくいからです。
「代償分割」でローンを組む場合
少し難しい言葉ですが「代償分割」という方法があります。
例えば、3,000万円の価値がある家を妻が取得する代わりに、妻が夫に対して現金1,500万円(夫の取り分)を支払う、といったケースです。
この1,500万円を支払うために、妻が金融機関で新たに住宅ローンを組んだ場合、これは「夫の持分を有償で取得した」とみなされ、住宅ローン控除の対象になる可能性があります。【例】
元夫の持分(50%)を買い取るために、元妻が銀行から融資を受けて売買契約を結んだ。
→ この場合、元妻は「中古住宅を購入した」という扱いになり、要件を満たせば住宅ローン控除が申請可能です。3. 相手に家を売る(親族間売買)の注意点
ここが今回のコラムで最も重要なポイントです。住宅ローン控除には「生計を一にする親族などからの購入ではないこと」という厳しい要件があります。
離婚届提出前の売買はNG
まだ離婚届を出していない状態(法律上の夫婦)で、夫から妻へ売買を行った場合、これは「親族間売買」となります。この場合、どんなに正式な売買契約書を作成し、銀行のローン審査が通ったとしても、住宅ローン控除は一切適用されません。
離婚届提出後の売買ならOKの可能性
離婚届が受理され、法律上の他人となった後に売買契約を結べば、「親族」ではなくなるため、住宅ローン控除の対象となる可能性があります。
ただし、税務署は「実質的な関係」を見ます。離婚後であっても、同居を続けていたり、生計が一緒だったりすると「事実婚」や「生計を一にする親族」と同等とみなされ、否認されるリスクがあります。
確実に控除を受けるためには、離婚成立後に別居し、生計も完全に分けた状態で売買契約を行うことが推奨されます。
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秘密厳守のクレール不動産へ4. 売却して新居を買う場合の「買い替え」特例
今の家は売却し、心機一転、新しいマンションや戸建てを購入する方も多いでしょう。この場合も注意が必要です。
売却損が出た場合(譲渡損失)
今の家を売った金額が、購入時の価格や諸経費よりも安く、損をしてしまった場合です。
この場合、一定の要件を満たせば、その損失を給与所得などから差し引いて税金を安くできる「譲渡損失の損益通算及び繰越控除」という特例が使えます。さらに、新居での住宅ローン控除も併用可能です。
これは、経済的に苦しい離婚後の生活再建において大きな助けとなります。売却益が出た場合(譲渡所得)
逆に、今の家が高く売れて利益が出た場合です。利益に対して税金がかかりますが、「3,000万円特別控除」を使って税金をゼロにすることができます。
しかし、ここで「どちらを選ぶか」という究極の選択が発生します。5. 3,000万円特別控除と住宅ローン控除の併用
不動産売却において代表的な節税策の「3,000万円特別控除」。これは、マイホームを売った利益から最大3,000万円まで差し引ける制度です。
しかし、この特例と「新居の住宅ローン控除」は、原則として併用できません。どちらが得かシミュレーションが必要
もし、前の家を売却して「3,000万円特別控除」を利用した場合、その年を含めて前後一定期間(居住年およびその前2年、その後3年の計6年間)は、新居での住宅ローン控除が受けられなくなります。
【判断のポイント】
● 売却益が非常に大きい場合: 3,000万円控除を使って、売却時の税金を消した方が得策なことが多いです。
● 売却益が少ない、または新居のローン残高が大きい場合: 売却時の税金を払ってでも、新居で10年〜13年間の住宅ローン控除を受けた方が、トータルの減税額が大きくなることがあります。これは個々の年収やローン金額によって計算結果が異なりますので、私たち不動産会社や税理士にご相談いただくことを強くお勧めします。
6. 離婚前後のタイミングによる違い
ここまで解説した通り、離婚と不動産売買は「タイミング」が命です。最後に時系列で整理してみましょう。
離婚協議中(まだ夫婦)
この段階で配偶者間の売買を行うと、住宅ローン控除は使えません。また、贈与税の配偶者控除の特例を使う場合を除き、安易な名義変更は多額の贈与税がかかるリスクがあります。
離婚成立後(他人)
財産分与としての名義変更であれば、贈与税は原則かかりません(過大な分与を除く)。また、元配偶者から適正価格で買い取り、ローンを組む場合は住宅ローン控除の対象になり得ます。
ただし、売却する側が「3,000万円特別控除」を使う場合、買い手が「売り手の配偶者や直系血族、生計を一にする親族」だと、この特別控除自体が使えないというルールもあります。離婚後であれば「配偶者」ではありませんが、関係性によっては税務署の判断が厳しくなることもあるため注意が必要です。7. まとめ
離婚に伴う不動産売買で住宅ローン控除を適用するためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 夫婦間の売買(離婚前)では住宅ローン控除は原則として使えない。
- 離婚成立後の売買であれば、適用の可能性がある。
- 財産分与でも、相手の持分を買い取るためのローンなら対象になる場合がある。
- 売却時の「3,000万円控除」と購入時の「住宅ローン控除」は併用できないため、どちらが得か計算が必要。
離婚という人生の転機において、不動産の問題は非常にデリケートです。感情的な対立がある中で、複雑な税制や法律を一人で解決するのは困難です。
センチュリー21クレール不動産では、お客様のプライバシーを厳守し、弁護士や税理士とも連携しながら、お客様にとって最も有利な解決策をご提案いたします。まずは一度、無料査定・ご相談をご利用ください。
よくある質問(FAQ)
離婚前に夫から妻へ家の名義を変えたいのですが、住宅ローン控除は使えますか?
原則として使えません。離婚届を提出する前の夫婦間での売買は「親族間売買」となり、住宅ローン控除の適用対象外となります。控除を利用したい場合は、離婚成立後に売買契約を行う必要があります。
財産分与で家をもらいました。税金はかかりますか?
もらう側(分与を受ける側)には贈与税や不動産取得税は原則としてかかりません。ただし、分与された財産が婚姻中の協力度合いに比べて多すぎる場合や、相続税や贈与税を免れるための偽装離婚とみなされた場合は課税されることがあります。また、登録免許税は必要です。
住宅ローンの名義変更は簡単にできますか?
非常に難しいのが現実です。金融機関は、当初の契約者(例えば夫)の返済能力を審査して融資しているため、妻への名義変更(債務引受)は、妻単独で同等の返済能力があると認められない限り、簡単には承諾してくれません。借り換え(別の銀行で妻が新規にローンを組む)を検討するのが一般的です。
ペアローンを組んでいますが、離婚したらどうなりますか?
離婚してもペアローンの契約は継続します。どちらか一方が住み続ける場合、相手のローン残債を一括返済して単独名義にするか、相手に家賃としてローン分を支払ってもらうなどの取り決めが必要です。放置すると、相手が滞納した際に自分の信用情報に傷がつくリスクがあります。
家を売却してもローンが残る場合(オーバーローン)でも売れますか?
通常の売却では、売却代金でローンを全額返済し、抵当権を抹消する必要があります。もし売却額がローン残高に届かない場合は、差額を現金で用意する必要があります。現金が用意できない場合は、「任意売却」という方法で、金融機関の合意を得て売却できる可能性があります。
この記事を書いた人
山本 繁春(やまもと しげはる)
センチュリー21 クレール不動産 / 宅地建物取引士
離婚に関する不動産売買取扱件数100件以上。お客様の「これから」を第一に考え、不動産のプロとしてだけでなく、良き相談相手としてサポートいたします。離婚協議に関しては提携弁護士、税金に関しては税理士のご紹介も可能です。
コラム作成日:2026年1月9日
※本記事は作成時点の法令・情報に基づき作成されています。税制改正等により内容が異なる場合がありますので、具体的な税務判断については税理士等の専門家にご確認ください。情報が異なる場合は当店までご連絡ください。
ページ作成日 2026-01-09





















