相続不動産の査定|評価額との違い・費用・遺産分割での使い方【相続不動産の売却ならセンチュリー21クレール不動産】
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相続不動産の査定|評価額との違い・費用・遺産分割での使い方
更新日:2026-10-25 公開日:2026-10-25
結論
相続した家や土地の価格を知りたいときは、その価格を何に使うのかを決めてから、不動産会社に査定を頼みます。査定価格は売れる見込みの目安で、相続税評価額や固定資産税評価額とは目的も時点も違い、成約価格や遺産分割で使う金額をそのまま決めるものではありません。兄弟で査定書を比べるときは、金額より先に、価格時点・物件の範囲・利用状況・引渡し条件・価格の根拠をそろえます。
この記事は、相続した家や土地を誰が引き継ぐか、売るかどうかをまだ決めていない方に向けたものです。価格の種類の違い、不動産会社の査定と不動産鑑定士の鑑定の使い分け、依頼の手順と必要書類、そして家族で複数の査定書を見比べる方法を順に取り上げます。
文中の「被相続人」は、亡くなった方のことです。相続が始まり、遺産分割の話合いを控えている場面を想定しています。

相続不動産の査定は、価格を何に使うか決めてから依頼する
相続した不動産の査定は、どの相続でも法律上求められる手続きではありません。それでも、分け方や売るかどうかを話し合うときに、今売るとしたらいくらかという共通の物差しがないと、議論は希望のぶつけ合いになりがちです。依頼の前に、その価格を使う場面を一つ決めておきます。
売却を決めていなくても、分け方を考える資料になる
査定は売却の申込みではありません。売るか残すかが決まっていない段階でも、家を引き継ぐ人が代償金をどのくらい用意すればよいか、売って分けたらどれほど残りそうかを考える材料になります。分け方ごとの進め方は、相続不動産の換価分割・代償分割・共有の違いで整理しています。
査定を受けることと、売却を任せる媒介契約や買主との売買契約を結ぶことは、別の段階です。売却を任せる不動産会社を決めるのは、査定結果を比べ、家族の方針が固まってからで構いません。
相続税申告の評価と、家族の話合いに使う価格は分ける
相続税の申告に使う相続税評価額は、国税庁の定める方法で、亡くなった日(税務上の課税時期)を基準に計算します。一方、家族が分け方を決めるために知りたいのは、多くの場合「これから売るとしたらいくらか」です。家庭裁判所の説明でも、遺産分割のための評価は、分割を行う時点の金額によるのが原則とされています。
価格を使う場面と、主な相談先
- 売れる見込み・売り方を知りたい:不動産会社の査定
- 相続税の申告に使う評価額を出したい:税理士・税務署
- 価格の争いがある、提出用の評価書が要る:不動産鑑定士、争いの整理は弁護士
- 名義を変えたい:司法書士・法務局
注意:相続放棄を考えている場合、価格を調べる相談と、売却・解体・家財の処分とは分けて考えてください。民法は、相続人が相続財産を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めています(第921条)。処分に当たるかどうかの判断と放棄の手続きは、手を付ける前に弁護士などへ相談します。
査定価格と相続税評価額・固定資産税評価額は違う
相続の場面には、名前の似た価格がいくつも出てきます。どれも「評価額」と呼ばれがちですが、使い道・基準となる時点・確認できる資料がそれぞれ違います。並べて比べる前に、手元の数字がどの種類かを確かめます。
価格の種類は、目的・時点・確認資料をそろえて見る
この記事の表は横にスクロールできます。キーボードでは、表を選んでから左右の矢印キーで動かせます。
相続不動産に関わる価格の目的別比較 名称 何に使うか 誰が出すか・何で確認するか 時点・注意点 査定価格 売れる見込みの目安。分け方や売却の判断材料 不動産会社の査定書・説明 査定した時点の市場が前提。成約を約束する価格ではない 売出価格 販売を始めるときに付ける価格 売主が不動産会社の意見を聞いて決める 売れ行きを見て見直すことがある 成約価格 買主と合意し、契約した価格 売買契約書 契約が決まるまで確定しない 手取り額 手元に残るお金の見込み 成約価格から費用・ローン残高・税金を差し引いて試算 価格が同じでも、費用や税金で人ごとに変わる 相続税評価額 相続税の計算 路線価・評価倍率表などをもとに計算。税理士・税務署に確認 亡くなった日が基準。売れる価格とは一致しない 固定資産税評価額(課税明細書の「価格」) 固定資産税などの基準 課税明細書、市区町村(東京23区は都税事務所)の固定資産課税台帳 評価替えは原則3年ごとで、間の年度は原則据え置き 鑑定評価額 合意や提出の根拠として示す評価 不動産鑑定士の鑑定評価書 依頼目的と評価の時点を決めて依頼する 土地の相続税評価額は、路線価がある地域では路線価をもとに補正率で調整して面積を掛ける路線価方式、ない地域では固定資産税評価額に倍率を掛ける倍率方式で求めます。家屋は、固定資産税評価額に1.0を掛けた額が基本です。いずれも税金を計算するための方法で、売れる価格を求めるものではありません。
国土交通省の地価公示(公示価格)は、毎年1月1日時点の標準地の正常な価格を毎年3月に公示するものです。地域の水準をつかむ参考にはなりますが、個々の家の成約価格そのものではありません。「評価額を0.7で割れば売れる価格になる」といった換算で、個別の物件の価格は決まりません。
課税明細書の「価格」と「課税標準額」を読み違えない
毎年届く固定資産税の課税明細書には、金額の欄が複数あります。「価格(評価額)」は固定資産課税台帳に登録された評価額で、「課税標準額」は、土地なら住宅用地の特例や負担調整などを当てはめたあとの、税額計算の土台となる金額です。住宅の敷地では、課税標準額が価格よりかなり低く出ることがあります。
課税標準額を「家の値段」と受け取ると、査定価格との差に驚くことになります。比べるなら、まず欄の名前と年度を確かめてください。東京都の場合、2026年度は原則として2024年度の価格が据え置かれています。ほかの地域の扱いは、所在地の市区町村で確認します。
マンション・賃貸中・借地権は、単純な換算をしない
2024年1月1日以後に相続などで取得した一定の分譲マンションは、相続税評価額の計算に区分所有補正率を使います。家屋部分と敷地部分の両方に関わり、地階を除いて2階建て以下の建物などは対象外です。高層マンションだけの制度ではなく、すべての部屋で評価が上がるわけでもありません。
賃貸中の家屋の相続税評価額は、一般に、固定資産税評価額から、固定資産税評価額に借家権割合と賃貸割合を掛けた金額を差し引いて求めます。ただし、区分所有補正率の対象となる分譲マンションを貸している場合は、補正後の価額をもとに貸家・貸家建付地の評価や小規模宅地等の特例を考えます。どの方法に当たるかは、物件の種類や利用状況とあわせて税理士に確かめてください。売るときも、入居者がいるまま売るか、退去後に売るかで買い手も価格も変わります。借地権も、地主の承諾や地代の条件によって売れ方が違います。こうした物件では、どの前提で査定したかを、査定書を受け取る前から確かめておきます。
不動産会社の査定と、不動産鑑定士の鑑定を使い分ける
価格を調べる方法は、自分で公的データを見る、不動産会社に査定を頼む、不動産鑑定士に鑑定評価を頼む、の三つに大きく分かれます。家族の話合いの材料なら不動産会社の査定、合意や提出の根拠として強い資料が要るなら鑑定が出発点です。
価格の調べ方と、費用・依頼前の確認 方法 分かること 把握しにくいこと 費用・依頼前の確認 公的データを自分で見る 地域の取引・成約の傾向、公示価格の水準 建物の傷み、接道、権利関係など個別の事情 物件の種類・時期・広さをそろえて見る 机上査定 登記・図面・周辺事例による概算 室内・境界・越境・設備の状態 費用の有無と、書面が出るかを会社ごとに確認 訪問査定 現況を見たうえでの売却見込み、売り方の提案 調査していない項目(地中・法令の細部など) 立会いと立入りの了解、遠方の場合の条件・費用を確認 不動産鑑定 依頼目的と時点を決めた鑑定評価額と、その根拠 実際に売れる時期や買い手 目的・対象・評価時点・提出先・成果物を伝えて見積り 公的データとしては、国土交通省の不動産情報ライブラリで取引価格・成約価格の情報を検索できます。築年数や面積の近い事例を、同じ時期で拾うのがこつです。
概算をつかむ机上査定と、現況を調べる訪問査定
机上査定は、所在地・面積・築年数などの情報と周辺の事例から概算を出します。早く目安がわかる半面、雨漏りや傾き、境界標の有無、残っている家財の量などは、申告や資料でわかる範囲に限られ、十分に把握できないことがあります。訪問査定では、担当者が現地で建物と敷地、道路との接し方を確かめるため、売り方や費用まで含めた話がしやすくなります。
宅地建物取引業法は、媒介契約を結ぶ場面で不動産会社が売買すべき価額(売出価格)について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています(第34条の2第2項)。査定の段階でも、どの事例と比べ、何を加点・減点したかを説明してもらうと、家族に伝えやすくなります。
合意形成・提出目的に応じて鑑定評価を検討する
不動産会社の査定書は、不動産鑑定士が作る鑑定評価書とは別物です。不動産流通推進センターの解説でも、査定の根拠を書面で示す場合は、鑑定評価書ではないことを明示するよう説明しています。
相続人の間で価格の主張が大きく食い違う場合や、調停・訴訟などで評価の根拠を示す必要がある場合は、鑑定を検討します。家庭裁判所の説明では、不動産の金額は基本的に当事者の合意で決め、合意できないときは鑑定によるとされています。
費用は依頼範囲と成果物を確認してから比べる
費用の有無や金額は、依頼の中身で変わります。査定の相談、書面の作成、遠方への現地調査、鑑定評価、測量、登記は、それぞれ別の作業で、支払先も別です。何をしてもらい、何が手元に残り、費用は誰にいつ払うのかを、申し込む前に確かめておきます。
複数の会社に頼む場合は、同じ資料と同じ前提を渡します。一括査定・匿名査定・AI査定の仕組みと選び方は、一括査定・匿名査定・AI査定の違いと選び方にまとめています。
相続不動産の査定を依頼する5つの手順と必要書類
査定の精度は、依頼の前にどれだけ前提をそろえたかで決まります。物件と名義、価格の使い道と時点、引き渡すときの状態を伝えれば、会社が違っても比べやすい査定書が集まります。
- 物件と権利関係を確かめる
登記上の名義、土地・建物・私道の持分、相続人の顔ぶれ、住んでいる人や借りている人の有無を、わかる範囲で書き出します。 - 価格の使い道と時点を決める
分け方の話合いに使うのか、売却の準備なのか。いつ売るとしての価格を知りたいのかを決めます。 - 同じ条件で依頼する
建物付きのまま引き渡すのか、更地にするのか。家財を残すか、測量をするかなどの前提を、各社に同じ言葉で伝えます。 - 必要な現地調査と資料の補完をする
訪問査定の日程、立会い、鍵の管理者を決め、不足している資料を補います。 - 結果と根拠、調べていない事項を家族で共有する
金額だけでなく、根拠と前提、未調査の事項をまとめて全員に渡します。
名義・相続人・利用状況を、分かる範囲で整理する
初回の相談で手元にあると話が早い資料は、次のとおりです。すべてそろっていなくても、相談は始められます。
- 登記事項証明書(土地・建物。私道があればその分も)
- 固定資産税の課税明細書(最新の年度のもの)
- 土地の測量図・建物の図面、購入したときの契約書や重要事項説明書
- 賃貸借契約書、借地の契約書や地代の資料(ある場合)
- マンションなら管理費・修繕積立金の額がわかる資料
- 遺言の有無と、遺産分割の話合いの進み具合
これは価格を相談するための資料です。売買契約や登記で求められる書類は別にあり、売る段階で改めて準備します。相続登記の期限や必要書類は、相続登記の期限・必要書類と売却前の手続きで確認できます。
目的・評価時点・引渡し条件を伝えて査定を依頼する
依頼のときは「相続した家の値段を知りたい」だけで終わらせず、「兄弟で分け方を決めるため、今後半年ほどで仲介で売るとしたらいくらか。建物付きの現況で」のように、使い道・時点・売り方・引渡しの状態まで言葉にします。前提が一つ違えば、査定額も変わるからです。
査定書を受け取り、根拠と調査していない事項を聞く
受け取ったら、比べた事例の時期と場所、加点・減点の理由、想定している売却期間を確かめます。そのうえで「調べていないことは何か」を聞いてください。境界、越境、地中の埋設物、建物の不具合、法令上の制限などのうち、未確認の項目は、あとで価格を動かす要因になります。
注意:査定の相談、家への立入り、売却への同意は、それぞれ別の話です。相続人の一人が価格を相談することはできますが、家に入って調べるには、住んでいる人や鍵を管理する人との調整が欠かせません。遺産分割前の家(相続人全員の共有)や、分割後も共有している家の全体を通常の売買で売るには、原則として共有者全員の合意が要ります。一方、遺産分割などで一人が単独で取得した後は、ほかの相続人全員の同意が一律に必要になるわけではありません。誰が売主になるかは、遺言の内容や登記・権利関係を確かめて整理します。
兄弟で査定額が違うときは、金額より先に前提をそろえる
査定額が会社によって違うのは珍しいことではありません。差が出たら、どちらが正しいかを議論する前に、何を前提に出した金額かを並べます。前提をそろえれば、差の多くは理由のあるものだとわかります。
評価時点・物件の範囲・現況・売却期間を見比べる
次の表を印刷するか書き写して、各社の査定書から読み取った内容を記入してみてください。空欄が残った項目は、会社に問い合わせる候補です。
査定書の比較記入表 比較項目 A社 B社 家族で確認すること 価格時点・調査日 記入欄 記入欄 今の売却見込みか、過去の時点の評価か 物件の範囲 記入欄 記入欄 土地と建物の全体か、共有持分だけか。私道・隣の土地を含むか 利用状況 記入欄 記入欄 空き家・居住中・賃貸中のどの前提か 調査方法 記入欄 記入欄 机上か、現地を見たか。調べていない点は何か 引渡し条件 記入欄 記入欄 建物付きの現況か、更地か。解体・家財の処分・測量は誰の負担か 売却期間・価格の種類 記入欄 記入欄 仲介で何か月ほどを見込むか。不動産会社が買い取る提示額か 価格の根拠 記入欄 記入欄 比べた事例の時期・場所と、建物の状態や権利の違いの反映 費用・税金・ローン残高 記入欄 記入欄 価格と手取りを分けて見積もっているか 同じ家でも、更地渡しを前提にした査定は高く出やすい一方、解体の費用と手間を誰かが負います。仲介でじっくり売る前提と、早く現金化する買取の提示額とでも、金額の性格が違います。記入表は、この違いを家族の目に見える形にするための道具です。
査定額の平均や最高額だけで、分割の価格を決めない
2社の平均を取れば公平に見えますが、前提の違う金額を足して割っても、意味のある数字にはなりません。最も高い査定額にしても、その価格で売れると約束された数字ではないのです。税金の評価額のほうが低いからといって、それを使うのがいつも誰かに有利とも限りません。
どの価格を使うかは、相続人全員で決める事柄です。岡山家庭裁判所の遺産分割手続の説明書でも、鑑定評価額以外の固定資産税評価額や相続税評価額などは、相続人全員の合意がある場合に限って採用されるとされています。代償金の計算や協議書への書き方は、相続不動産の遺産分割の方法と代償金の考え方を参考にしてください。
根拠を共有しても合意できなければ、鑑定・法律相談へ進む
前提をそろえ、根拠を全員で見ても折り合えないことはあります。その場合は、不動産鑑定士による鑑定評価や、弁護士への相談を考えます。話合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停も使えます。調停では、必要に応じて遺産の鑑定が行われることがあり、鑑定費用は原則として法定相続分に応じて負担し、調停では全員が合意した方法で分けることもできます。
モデルケース|同じ家でも、比較する条件が違うと判断が変わる
ここで取り上げるのは、説明のために作った架空の整理例です。実際の成約事例や当社の実績ではなく、金額はすべて仮定の数字です。解体費の相場を示すものでもありません。
兄と妹が、亡くなった父の古い木造の家と土地を相続しました。二人とも住む予定はなく、売るか、兄が引き継いで妹に代償金を払うかで迷っています。2社に査定を頼んだところ、A社は4,000万円、B社は4,200万円という結果でした。
税の評価額と査定額を、そのまま並べない
妹は、固定資産税の課税明細書に載った金額がどちらの査定額よりもずっと低いのを見て、「査定が高すぎるのでは」と感じました。ところが明細書で見ていたのは課税標準額の欄で、そもそも税額を計算するための数字です。査定額と比べる相手を取り違えていたことになります。
建物付きと更地渡しは、費用を含めて比べる
記入表を埋めると、A社は建物付きの現況のまま引き渡す前提、B社は建物を解体して更地で引き渡す前提だとわかりました。B社の前提では、解体などの費用を売主側が負います。
モデルケースの条件差(仮定の数字) 項目 A社の前提 B社の前提 引渡し条件 建物付きの現況 解体後の更地 査定額 4,000万円 4,200万円 解体などの費用(仮定) なし 300万円 条件をそろえた比較額 4,000万円 3,900万円(4,200万円-300万円) 名目の金額ではB社が200万円高く見えましたが、解体などの費用を差し引いて条件をそろえると、A社が100万円上回りました。仲介手数料などの売却費用、税金、ローン残高を差し引く前の比較で、最終的な手取りではありません。また、更地のほうが買い手を見つけやすい場合もあり、B社の案が劣ると決まったわけでもありません。
二人はこの表をもとに、売り方と引渡しの条件を先に決め、そのうえで代償金の話に戻ることにしました。売却費用を含めた手取りの計算方法は、不動産売却にかかる費用と手取りの計算で確認できます。
相続不動産の査定でよくある質問
売る予定が決まっていなくても査定を依頼できますか?
依頼できます。査定は売却の申込みではなく、分け方や売るかどうかを考える材料です。依頼のときに「売却は未定で、分け方の話合いに使いたい」と伝えておくと、目的に合った説明を受けやすくなります。
相続登記が終わっていなくても価格を相談できますか?
価格の相談や査定は、相続登記の前でも始められます。ただし、亡くなった方の名義のままの不動産について、買主への所有権移転登記をするには、原則として先に相続登記が必要です。契約・登記・引渡しの順序や相続登記の期限は、早めに司法書士や法務局で確かめてください。
相続人の一人から相談できますか?
価格の相談は一人からでもできます。家に入って調べる訪問査定は、住んでいる人や鍵を管理する人と日程や立入りを調整してから行います。遺産分割前の家や、分割後も共有している家の全体を通常の売買で売るには、原則として共有者全員の合意が必要です。遺産分割などで一人が単独で取得した後は、通常はその人が売主になります。相談したことが、ほかの相続人の同意を得たことにはなりません。
不動産会社の査定は無料ですか?鑑定とは何が違いますか?
費用の有無や範囲は、会社と依頼の内容によって違います。書面の作成や遠方への現地調査も含め、申し込む前に確かめてください。不動産会社の査定は売れる見込みの目安で、不動産鑑定士の鑑定評価書とは別物です。鑑定の費用は、目的・対象・評価時点・提出先を伝えて見積りを取ります。
固定資産税の通知書だけで家の売却価格が分かりますか?
わかりません。課税明細書の「価格」は固定資産税の基準となる評価額で、「課税標準額」は特例などを当てはめた税額計算の土台です。どちらも売れる価格を示すものではないため、売却の見込みは査定や取引事例で確かめます。
査定価格をそのまま代償金や遺産分割の価格に使えますか?
相続人全員が合意すれば、査定価格を分割の基準にすることはできます。ただし、査定価格は成約を約束する金額ではありません。前提の違う査定を比べずに一つを選ぶと、後から不公平だと感じる人が出やすくなります。合意できなければ、鑑定や弁護士への相談を検討します。
相続税評価額や査定価格を、売却時の取得費にできますか?
置き換えることはできません。相続した土地建物を売ったときの取得費は、原則として亡くなった方が買ったときの代金や手数料などをもとに計算します。資料が見つからない場合の調べ方は、相続した不動産の取得費がわからない場合の調べ方で整理しています。
相続不動産の査定前に、目的と家族の希望を整理する
相談の前に、次の点をメモにしておくと、査定の前提をそろえやすくなります。まだ決まっていない項目は「未定」と書いておけば十分です。
相談前メモ
- 物件の所在地と登記上の名義、相続人の顔ぶれ
- いま誰が住んでいるか、誰が管理・鍵の保管をしているか
- 売る・残す・貸すについての家族それぞれの希望
- 価格を知りたい目的と、いつの時点の価格か
- 手元にある資料と、まだ見つかっていない資料
- 家族と共有したい事項(査定書の写しを誰に渡すかなど)
不動産会社が担うのは、物件の調査、市場での査定、売り方と条件の整理です。相続税の評価や申告は税理士・税務署、登記は司法書士・法務局、評価をめぐる争いや相続放棄は弁護士・家庭裁判所、鑑定評価は不動産鑑定士が相談先です。売る・残す・貸すの比べ方は、相続した家・空き家の売却手順と、売る・残す・貸すの判断で詳しく扱っています。
出典・確認日
制度情報の確認日:2026年10月25日。国税庁の説明は2026年4月1日現在の法令等にもとづきます。
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価(Q&A)
- 国税庁 No.4667 居住用の区分所有財産の評価
- 国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
- 京都家庭裁判所 遺産分割調停についてのQ&A(Q12・Q13)
- 岡山家庭裁判所 遺産分割手続についての説明書(PDF、2ページ)
- 裁判所 遺産分割調停
- 東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
- 国土交通省 地価公示
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産価格情報)
- e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2)
- e-Gov法令検索 民法(第176条・第251条・第898条・第909条・第921条)
- 不動産流通推進センター 査定の「根拠」についての説明の範囲
本記事は一般的な判断材料を整理したもので、個別の法律・税務の判断や、価格・成約を保証するものではありません。物件の条件、相続人の状況、遺言の有無によって、使う価格も進め方も変わります。実際の手続きは、最新の公的情報と手元の資料をもとに、各分野の専門家・窓口にご相談ください。























