相続した土地・実家がいらない|手放す方法と費用【相続不動産の売却ならセンチュリー21クレール不動産】
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相続した土地・実家がいらない|手放す方法と費用
更新日:2026-10-29 公開日:2026-10-29
結論
相続した土地や実家がいらないときの主な手放し方は、売却(仲介・買取)、隣地の所有者などへの売却・贈与、自治体などへの寄附、相続土地国庫帰属制度の利用です。どれも相手の同意か国の審査が要ります。国庫帰属は建物が残る土地では申請できず、審査手数料と20万円以上の負担金がかかります。相続放棄では、家や土地だけを選んで手放すことはできません。放棄するか迷っているなら、売却や解体に手を付ける前に、財産全体と期限(自分が相続人になったことを知った時から原則3か月)を確かめてください。
この記事は、親などから相続した土地や家を使う予定がなく、手放せるものなら手放したいと考えている方に向けたものです。手放す方法ごとの条件と費用、売れないと言われたときの次の手、相続土地国庫帰属制度の要件と負担金の計算、そして相談から名義が移るまでの順番を取り上げます。
文中の「被相続人」は、亡くなった方のことです。相続した家の通常の売却の流れは、相続した家・空き家の売却手順と、売る・残す・貸すの判断にまとめています。

「いらない」と決める前に、相続の段階と名義を確かめる
同じ「いらない」でも、まだ相続を受けるかどうかを決めていない人と、すでに相続して名義を持っている人とでは、取れる道が違います。手放し方を比べる前に、自分がどちらの段階にいるのか、その不動産が誰の名義で、何が建っているのかを確かめます。
相続放棄では、家や土地だけを手放すことはできない
相続放棄は、家庭裁判所に申述して、相続そのものを受けない手続きです(民法第938条)。預貯金や借入金などを含めた相続全体についての選択で、「実家だけ放棄して、預金は受け取る」という使い方はできません。期限は、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内で、家庭裁判所に申し立てれば期間を延ばせる場合があります(民法第915条)。
放棄を迷っている間に気をつけたいのが、財産の処分です。民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認(借金も含めて、そのまま相続すること)をしたものとみなすと定めています(第921条)。保存行為などの例外もありますが、どの行為が処分に当たるかは事情によって変わるため、建物の解体、家財の大量処分、売却の契約などは、手を付ける前に弁護士や家庭裁判所の家事手続案内で確かめます。
注意:相続放棄をしても、放棄の時にその家や土地を現に占有している人は、ほかの相続人や相続財産の清算人に引き渡すまでの間、自分の財産と同じ注意をもって保存しなければなりません(民法第940条)。鍵を預かって管理している場合などは、放棄で管理の問題がすぐに消えるとは限らないため、放棄後の扱いもあわせて専門家に確認します。
名義・共有者・建物・担保を書き出す
すでに相続を受けるつもりなら、次に不動産の状態を書き出します。ここで挙げる点しだいで、使える手放し方が変わります。
- 名義:登記が亡くなった方のままか、相続登記を済ませたか。売却するには相続登記が要ります
- 共有者:兄弟などと共有しているか。売却も国庫帰属の申請も、原則として共有者全員の合意が前提です
- 建物・工作物:家や倉庫、ブロック塀、古い車両、樹木などが残っていないか
- 担保・貸し借り:抵当権が残っていないか、人に貸していないか、通路として使われていないか
- 境界:隣地との境界がはっきりしているか、争いがないか
名義の変更は相続登記の期限・必要書類と売却前の手続きで、兄弟との共有で意見が分かれている場合は共有名義の不動産を売却する方法で詳しく扱っています。借地の上に建つ家なら、土地は地主のものなので国庫帰属の対象にはなりません。手放し方は借地権の相続と売却の記事で説明しています。
建物を壊す前に、売却と国庫帰属の見込みを調べる
国庫帰属は建物があると申請できないため、「まず解体」と考える方は少なくありません。ただ、古家付きのまま売れる場合や、建物を使いたい買主が見つかる場合もあります。解体費は先に出ていくお金で、建物は壊したら元に戻せません。売却の見込みと国庫帰属の要件を調べ、どちらで手放すのかを決めてから解体を検討します。古家付きと更地の売り方の違いは、「古家の売却方法|古家付き土地・更地・解体更地渡しの判断基準」で比べています。
相続した土地・実家を手放す方法は、条件と「管理が終わる時点」で比べる
手放す方法は一つではありません。法務省は、国庫帰属以外に土地を活用したり手放したりする方法として、相続放棄、地方公共団体等への寄附、民間での売買・贈与のほか、農地なら農地中間管理機構の活用、森林なら森林経営管理制度の利用を挙げています。このうち後の二つは、所有したまま土地を貸したり管理を任せたりする仕組みで、所有権を移す方法ではありません。比べるときは、受け取る側の同意や審査が要るか、建物があっても進められるか、そしていつ自分の管理が終わるかをそろえて見ます。
この記事の表は横にスクロールできます。キーボードでは、表を選んでから左右の矢印キーで動かせます。
相続した土地・実家を手放す方法の比較 方法 相手の同意・審査 建物を残したまま 手放す側の主な支出 管理が終わる時点 仲介で売る 買主との合意 進められる(条件しだい) 仲介手数料、測量・境界確認、家財処分、登記、譲渡所得税 引渡しの日 不動産会社の買取 買取会社の判断 現況のまま扱う会社もある 価格に片付け・解体などの費用が反映されることがある 引渡しの日 隣地の所有者などへ売る・贈る 相手の合意 相手しだい 登記費用、測量。法人へ無償・低額で渡すと税金がかかる場合あり 引渡し・名義変更の日 自治体などへの寄附 受け入れ先の判断 受け入れ先しだい 受け入れ先の条件による 受け入れが決まり、名義が移った日 相続土地国庫帰属 法務大臣の承認 申請できない 審査手数料1筆14,000円、負担金(原則20万円)、解体・境界確認など 負担金を納めた時点 仲介・買取で売る
最初に検討するのは売却です。仲介は不動産会社が買主を探す方法で、価格は市場で決まります。買取は不動産会社が自ら買う方法で、売れる時期の見通しが立ちやすい反面、再販売のための改修費やリスクが価格に反映され、仲介で売れる見込みの価格より低くなることがあります。両者の違いは不動産売却方法「仲介」と「買取」の違いで整理しています。
査定を頼むときは、価格だけでなく「家財を残したままでよいか」「建物の不具合をどこまで買主が引き受けるか」「測量は誰が負担するか」を同じ条件で聞きます。条件がそろわない査定額は比べられません。価格の見方は相続不動産の査定と評価額の違いで詳しく説明しています。
隣地の所有者など、使い道のある人へ譲る
一般の市場では買い手がつきにくい土地でも、隣の土地の所有者にとっては、敷地を広げたり出入口を確保したりできる価値があることがあります。法務省の統計でも、国庫帰属の申請を取り下げた理由として「隣接地所有者から土地の引き受けの申出があった」場合が例に挙げられています。
個人どうしの売買や贈与でも、境界の確認、登記、代金や費用の負担を書面で決めておくことは欠かせません。個人に無償で譲ると、受け取った人に贈与税がかかることがあります(国税庁No.4402)。法人に無償や時価の2分の1未満の価額で渡すと、渡した側が時価で売ったものとみなして譲渡所得を計算します(国税庁No.3105・No.3217)。一方、国や地方公共団体への寄附などには、この譲渡所得の税金がかからない取扱いがあります(国税庁No.3108)。相手が個人か、民間の法人か、国や自治体かで扱いが変わるため、金額が小さくても、契約前に税理士や税務署へ確認します。
自治体などへの寄附は、受け入れ先が決める
自治体への寄附は、申し出れば受け取ってもらえるものではなく、受け入れるかどうかは自治体などが判断します。自治体が使う予定のない土地は受け入れられないことがあるため、所在地の市区町村の担当窓口に、寄附を受け付けているか、条件は何かを問い合わせるところから始めます。
国庫帰属の相談の段階で、法務局が寄附先を探してくれることはありません。承認申請をした後、本人が同意すれば、法務局から地方公共団体などに寄附を受ける可能性を確認する運用があります(法務省Q&A)。
農地・山林は専用の制度と許可がある
農地を売ったり貸したりするには、原則として農業委員会の許可が必要で、許可を受けずに結んだ売買は効力を生じません(農地法第3条)。許可には取得する側の要件もあるため、所在地の農業委員会や農地中間管理機構(農地バンク)に早めに相談します。森林なら、市町村に経営管理を委託する森林経営管理制度を使える場合があります。ただし、農地バンクへの貸付けや森林の経営管理の委託は、所有権を移すこととは別です。所有そのものを終えたいのか、所有を続けて利用や管理を任せたいのかを分けて相談します。農地も森林も、要件を満たせば国庫帰属の申請はできます。
売れないと言われたら、理由を分けて次の手を選ぶ
「この土地は売れない」と言われても、その理由が価格や売り方にあるのか、物件そのものにあるのかで、次の手は変わります。理由を分けずに国庫帰属や有料の引取りへ進むと、本来は売れた土地にお金を払って手放すことになりかねません。
価格・売り方の問題か、物件の問題かを分ける
価格や売り方が理由なら、売出価格の見直し、古家付きか更地かの選び直し、買取への切替え、隣地の所有者への打診などで動くことがあります。物件の問題とは、道路に接していない、境界がはっきりしない、崖がある、建物を建て直せない、地中に古い基礎やごみが残っている、といった事情です。後者は売却でも国庫帰属でもつまずく原因になるため、どの事情がどの方法を妨げるのかを一つずつ確かめます。
800万円以下の物件には、仲介手数料の特例がある
価格の低い空き家や土地は、仲介の手数料が少ないため、不動産会社が扱いに消極的になることがあります。国土交通省は、物件価格が800万円以下の「低廉な空家等」について、売主・買主のそれぞれから受け取れる仲介手数料の上限を30万円の1.1倍(税込33万円)とする特例を設けています(2024年7月1日以降)。特例が使われる場合は、媒介契約のときに上限の範囲内で金額を合意しておきます。売却にかかる費用の全体は不動産売却にかかる諸費用で確認できます。
先にお金を求める引取りや売却の話は、契約前に相談する
手放したい土地の所有者に、「高く売れる」「引き取る」と持ちかけ、測量費や広告費、手数料などの名目で先にお金を払わせる手口があり、国民生活センターが注意を呼びかけています。有料の引取りサービスを使う場合も、相手の名称と所在地、名義を移す時期、支払いの時期と返金の条件、名義変更が終わったことを示す書類を受け取れるかを契約前に確かめます。少しでも不審に感じたら、家族や消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談します。
相続土地国庫帰属制度は、建物のない土地を国に引き取ってもらう制度
相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した土地を、法務大臣の承認を受けて国に引き渡す制度で、2023年4月27日に始まりました。対象は土地だけで、建物があると申請できません。承認されても、負担金を納めるまでは自分の土地です。
申請できる人と、共有の場合
申請できるのは、相続または相続人への遺贈で土地を取得した人です。売買で取得しただけで、相続などで取得した部分がない土地や、相続人ではない人が遺贈で受けた土地は対象外です。制度が始まる前に相続した土地も申請できます。相続登記を済ませていなくても、戸籍などで所有者であることを示せば申請できます。ただし、被相続人が売買で取得した土地で、その売買による所有権移転登記がされていない場合は、相続で取得したことを確認できないため申請できないとされています。
共有の土地は、共有者全員で申請しなければなりません。売買で持分を取得した共有者がいても、相続で持分を得た共有者と一緒なら申請できます。一人でも反対する共有者がいれば申請はできないため、共有の解消を先に考えることになります。
申請できない土地と、承認されない土地
法律は、申請の段階で受け付けない土地と、審査の結果として承認しない土地を分けて定めています(相続土地国庫帰属法第2条第3項・第5条第1項)。
申請の段階で却下される土地
- 建物がある土地(登記がなくても、建物が現にあれば申請できない)
- 抵当権などの担保権や、賃借権などの使用収益の権利が設定されている土地
- 通路、墓地、境内地、水道用地・用悪水路・ため池など、他人の使用が予定される土地
- 基準を超えて土壌が汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地、所有権の存否や範囲に争いがある土地
審査の結果、承認されない土地
- 勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖があり、管理に過分な費用・労力がかかる土地
- 管理や処分を妨げる工作物・車両・樹木などが地上にある土地
- 除去しなければ管理・処分できない物が地下にある土地
- 公道に通じないなど、隣接地の所有者との争訟によらなければ管理・処分できない土地
- 災害の危険があるなど、通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地
申請後に建物をすぐ取り壊す予定がある場合は、申請先の法務局に相談するよう案内されています。また、却下や不承認の事由があると知りながら告げずに承認を受け、国に損害が生じたときは、損害を賠償する責任を負います(同法第14条)。
審査手数料と負担金の計算
申請のときに、土地1筆ごとに14,000円の審査手数料を収入印紙で納めます。却下や不承認、取下げになっても返ってきません。承認されると負担金の額が通知され、通知が届いた日の翌日から30日以内に納めないと承認は効力を失います(同法第10条、法務省の負担金の案内)。負担金は、国が管理する10年分の標準的な費用をもとに、土地の区分ごとに政令で決まっています。
相続土地国庫帰属の負担金の区分と計算例 土地の区分 負担金の決まり方 計算例 その他の土地(下の3つ以外。市街化区域・用途地域の外の宅地、雑種地、原野など) 面積にかかわらず20万円 200,000円 宅地のうち、市街化区域内(区域区分がない都市計画区域では用途地域内) 面積に応じて算定(50㎡以下から800㎡超まで6段階) 100㎡:2,720円×100㎡+276,000円=548,000円 主に農地として使われる土地のうち、市街化区域内(区域区分がない都市計画区域では用途地域内)、農用地区域内、土地改良事業等の施行区域内 面積に応じて算定(250㎡以下から4,000㎡超まで6段階) 500㎡:850円×500㎡+298,000円=723,000円 主に森林として使われる土地 面積に応じて算定(750㎡以下から12,000㎡超まで6段階) 3,000㎡:17円×3,000㎡+248,000円=299,000円 計算例は、相続土地国庫帰属法施行令第5条の区分と算定式を当てはめた試算です(1,000円未満は切り捨て)。実際の区分は、法務局の審査で土地の現況などから判断されます。
隣り合う2筆以上の土地が同じ区分なら、申し出により一つの土地とみなして負担金を計算できます。たとえば「その他の土地」2筆なら、1筆分の20万円で済みます。面積で決まる区分では、面積を合計して計算します。申出は、申請書を出した法務局に、承認が出るまでの間に行います。
審査は標準8か月。名義が国に移るのは負担金を納めた時
申請先は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局で、支局や出張所では受け付けていません。法務省によると標準処理期間は8か月で、書面の審査や現地調査によっては、それより長くかかることもあります。
承認と負担金の納付が済むまで、土地の所有者は申請した人のままです。その間の草刈りなどの管理は、引き続き自分で行います。審査中に買い手が見つかった場合は、売る前に法務局へ連絡し、申請を取り下げます。
数字で見る相続土地国庫帰属(法務省、2026年9月30日現在・速報値)
- 申請6,125件のうち、国に帰属したのは3,231件。却下86件、不承認103件、取下げ1,162件
- 帰属した土地の内訳は、宅地1,208件、農用地1,013件、森林229件、その他781件
- 取下げの理由で最も多いのは「有効活用の見込みが生じた」(595件)。自治体や国の機関による活用の決定、隣接地所有者からの引き受けの申出、農地としての活用などが例に挙がっている。次いで「却下・不承認であることが判明した」(415件)
国庫帰属を最後の受け皿と考える場合でも、申請をきっかけに別の引き取り手が見つかることがあると、この数字は示しています。相談は申請先の法務局・地方法務局(本局)が基本です。土地が遠方で申請先に相談しにくい場合は、近くの法務局・地方法務局の本局でも相談できます(支局・出張所では受け付けていません)。予約制で、相談の結果と審査の結果が異なることもあるとされています。
手放す費用と持ち続ける費用を、同じ表で比べる
「0円でいいから手放したい」と考えても、手放すまでの準備にはお金がかかります。一方、持ち続ければ、毎年の固定資産税や管理の手間が続きます。どちらが重いかは土地ごとに違うため、同じ物差しで並べてみることが判断の近道です。
売値がゼロでも、費用がゼロとは限らない
手放す前に出ていく可能性があるのは、建物の解体費、測量や境界の確認、家財の処分、相続登記や名義変更の登記費用、税理士などへの相談料です。国庫帰属では、これに審査手数料と負担金が加わります。いずれも物件の状態や地域で大きく変わるため、一律の目安ではなく、見積りを取って比べます。
支払う時期にも注意します。解体や測量は契約や申請の前に払うことが多く、国庫帰属の負担金は承認の後、売却の仲介手数料は一般に契約や引渡しのときです。「今払う額」と「手放せた後に払う額」を分けておくと、資金の準備がしやすくなります。
持ち続ける間は、固定資産税と管理の責任が続く
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・家屋の所有者にかかります。手放す時期が年をまたぐかどうかで、翌年度の税の負担者が変わることもあります。空き家を放置して管理不全空家等や特定空家等として勧告を受け、1月1日までに必要な措置をとらないと、住宅用地の特例が外れて土地の税額が上がる場合もあります(東京都主税局の案内)。空き家の管理の考え方は、相続した家・空き家の売却手順と、売る・残す・貸すの判断でも説明しています。
手放す方法ごとの費用の記入表(見積りを取って書き込む) 方法 今払う額(解体・測量・家財など) 手放すまでの支出(税・管理・手数料) 手放した後に残る負担 管理が終わる見込みの時期 仲介で売る (記入) (記入) (記入) (記入) 買取 (記入) (記入) (記入) (記入) 隣地の所有者などへ譲る (記入) (記入) (記入) (記入) 国庫帰属 (記入) (記入) (記入) (記入) 持ち続ける (記入) 毎年の固定資産税・管理費 (記入) 見直す時期を決める 「手放した後に残る負担」には、売却なら契約不適合責任の範囲、国庫帰属なら事由を隠していた場合の損害賠償の責任など、契約や制度で後に残るものを書きます。表は手元のメモに写し、売却代金の見込み、支出の合計、差し引きで残る額も並べると、費用の安さだけで選ぶのを避けられます。「今払う額」と「手放すまでの支出」に、同じ費用を重ねて書かないようにします。書き込めない欄があれば、そこが相談で確かめるべき点です。
相談から名義が移るまでの進め方
準備から名義が移るまでの順番は、どの方法でもおおむね同じです。途中で放棄や税金の判断が必要になったら、その時点で専門家に確認します。
- 相続の段階を確かめる
相続放棄を検討中なら、処分に当たる行為を控え、期限と財産全体を確認する。 - 資料をそろえる
登記事項証明書、固定資産税の課税明細書、公図・測量図、建物の有無と状態、共有者の連絡先を集める。 - 売却の見込みを調べる
不動産会社に、仲介・買取の両方で条件をそろえて査定を頼み、売れない場合はその理由を聞く。 - ほかの方法の条件を確かめる
隣地の所有者への打診、自治体への寄附の可否、国庫帰属の要件を法務局の相談で確認する。 - 費用を同じ表で比べる
解体・測量・手数料・負担金・税金と、持ち続ける費用を並べ、家族で方針を決める。 - 契約・申請し、名義の移転を確認する
売買契約や申請を行い、引渡し・登記・負担金の納付まで終わったことを書類で確かめる。
よくある質問
実家だけ相続放棄することはできますか?
できません。相続放棄は相続全体を受けない手続きで、家や土地だけを選ぶことはできません。実家だけを引き継ぎたくない場合は、遺産分割で実家を取得しない、取得したうえで売却や国庫帰属を検討する、といった方法になります。分け方は相続不動産の遺産分割の方法で整理しています。
建物が建ったままの土地を、国に引き取ってもらえますか?
建物があると、相続土地国庫帰属の申請はできません。建物は取り壊してから申請するのが原則です。解体費は先に払うことになるため、古家付きで売れる見込みや買取の条件を調べてから判断します。
相続人が全員相続放棄したら、土地はどうなりますか?
相続する人がいなくなった場合、利害関係人などの申立てにより家庭裁判所が相続財産清算人を選び、清算人が債務の支払いなどを行います。清算後に残った財産は国庫に帰属します(民法第959条、裁判所「相続財産清算人の選任」)。それまでの間、放棄の時に土地や家を現に占有していた人には保存の義務があります(民法第940条)。
相続登記をしていなくても、国庫帰属の申請はできますか?
相続や相続人への遺贈で取得していれば、相続登記が済んでいなくても、戸籍などで所有者であることを示して申請できるとされています。ただし、売却を選ぶ場合は相続登記が必要です。相続登記には申請の義務と期限もあるため、相続登記の期限・必要書類と売却前の手続きで確認してください。
0円で引き取ってもらえれば、費用はかかりませんか?
譲る価格が0円でも、登記や測量の費用はかかることがあります。民間の法人に無償で渡すと、渡した側が時価で売ったものとみなされて譲渡所得の税金がかかる場合があり、個人が受け取れば贈与税の対象にもなります。国や地方公共団体への寄附であれば、この譲渡所得の税金はかかりません。費用を先に求められる引取りの話は、契約前に家族や消費生活センターに相談してください。
相談前にそろえる資料と、相談先の分け方
相談の前に次の点をメモにしておくと、どの方法が使えそうかを早く絞り込めます。分からない項目は「不明」と書いておけば構いません。
相談前メモ
- 土地・建物の所在地と地目、登記上の名義、共有者の有無
- 相続の段階(放棄を検討中か、遺産分割は済んだか)と、自分が相続人になったと知った日
- 建物・工作物・樹木の有無と、現在の利用状況や管理している人
- 抵当権の有無、貸している相手や通路としての利用の有無
- 境界標や測量図の有無、隣地の所有者との関係
- 固定資産税の年額と、草刈りなどにかかっている管理の費用・手間
不動産会社が担うのは、物件の調査、売却の見込みの査定、売り方と契約条件の整理です。相続放棄の可否や処分に当たる行為の判断は弁護士・家庭裁判所、相続登記は司法書士・法務局、境界の確定は土地家屋調査士、国庫帰属の要件は法務局、税金は税理士・税務署、農地の売買は農業委員会が相談先です。国庫帰属の申請書類の作成を業務として代行できるのは、弁護士・司法書士・行政書士に限られ、申請は本人の名前で行います(法務省)。
出典・確認日
制度情報の確認日:2026年10月29日。法令はe-Gov法令検索の現行条文、国税庁の説明は2026年4月1日現在の法令等、法務省のQ&Aは2025年9月1日現在、統計は2026年9月30日現在の速報値です。
- 法務省 相続土地国庫帰属制度について
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の概要
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の負担金
- 法務省 相続土地国庫帰属制度に関するQ&A
- 法務省 相続土地国庫帰属制度における専門家の活用等
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の統計
- e-Gov法令検索 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(第2条・第5条・第10条・第11条・第14条)
- e-Gov法令検索 同法施行令(第2条〜第5条)
- e-Gov法令検索 民法(第915条・第921条・第938条・第939条・第940条・第959条)
- e-Gov法令検索 農地法(第3条)
- 裁判所 相続の放棄の申述
- 裁判所 相続財産清算人の選任
- 法務省 相続人申告登記について
- 国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
- 国税庁 No.3217 時価より低い価額で売ったとき
- 国税庁 No.3108 国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人等に財産を寄附したとき
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
- 農林水産省 農地相続ポータル
- 林野庁 森林経営管理制度(森林経営管理法)について
- 総務省 固定資産税の概要
- 国土交通省 不動産取引に関するお知らせ(低廉な空家等の媒介報酬の特例)
- 東京都主税局 特定空家等・管理不全空家等の固定資産税・都市計画税
- 国民生活センター 土地売却のため? 金銭を請求されたら要注意 原野商法の二次被害
本記事は一般的な判断材料を整理したもので、個別の法律・税務の判断や、売却・引取り・承認を保証するものではありません。土地の状態、相続人の状況、地域によって使える方法も費用も変わります。実際の手続きは、最新の公的情報と手元の資料をもとに、各分野の専門家・窓口にご相談ください。























